あたしはずっと
たとえ半端者でもあやなしでも
巫女として生きて死ぬべきやと思っとった
それは葛城でも学園でも変わらんのやと
実際学園に来て
たくさんの人間に会うて
蜘蛛さん鋏角さん以外の来訪者さんに会うて
でも
生来の巫女っちゅうやつに会うことは無かってん
元が他の能力を持っとって
後から屋上でどうにかした巫女ならなんぼも見てたけど
そう あたしは
他の皆が
服を着替えるように能力を変えられるんが
とても羨ましくて
やろうと思えば自分も出来るって
頭では分かっとってんけど
惣ちゃんの力を持ち続ける約束を破る気は無くて
巫女の自分を否定するんも怖くて
物心ついた頃から
息をするのと同じように舞っていたあたしは
今更他の生き方なんか出来ひんと思っとった
そんな時に
ちょっと変わった巫女に会うてん
その人は生来の巫女で
でもあたしが最初に会うた時は巫女の力を感じひんかった
巫女であることを自分の手で止めた人やってんね
自分の選択で別の生き方をしてる巫女っちゅうもんに会うて
やっぱりあたしにも出来るのやって知ることが出来て
こないだの地縛霊退治も無事に済んだし、って
霧使いがちょっと気になっとったから屋上に行ってんけど
あかんの。
どうしても、屋上に通じるドアを開けられへん
怖いとかそんなんやのうて
このドアを開けたら一生後悔しそうな気がしてもうて
舞を舞われへん自分とか
惣ちゃんの半身がのうなった自分を思うだけで
息が止まりそうなほど苦しくて
諦めて上がりきった階段を降り始めたら
やっと呼吸が普通になって。
その時やっと疑問が解けたんよ
あたしは巫女でないとあかんって思い込んでたのやない
ただ巫女で在り続けたいだけなんやって
蜘蛛さんが好きで 鋏角さんが好きで 童が好きで 惣ちゃんが大好きで
好きなもののために力を使えるあたしは 葛城でもそれなりに幸せで
嫌いだったのは
自分ら以外の人間を何とも思わない巫女だけ
そんな人らに
あやなし呼ばわりされることが悔しかっただけなんや
今のあたしには
抗う力があって
道を間違っても
連れ戻してくれる大事な人が居てて
だって
思い出しても怖くなんてなかった
あやなしが嫌やったら強くなったらええ
あの時よりあたしは弱くない
霧は晴れたよ
あたしはきっとこの先も
巫女として生きていける
変わってもええってて思えたから
変わらへん道を選ぶの。
ねえ、エル
あたしはたしかにあやなしやけど
あんたの言うように胸を張って巫女であれるんは
あんたに会うたからなんよ
あたしがあんたにしてあげられることなんて少ないけど
見つかるとええね、あんただけの蜘蛛さん
……ううん、蜘蛛さんやのうても
あんただけの ね。
土蜘蛛の巫女×鋏角衆
仁奈森キャンパス2年1組
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