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『シルバーレイン』内PC 依藤たつみの日記
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(会いたかった人の顔は 哀しく 安らかで)

+ + + + + + + + + +
「惣ちゃん、どこ行くん」

「女王のおつかい。童、ちょっと借りるで」

「行ってらっしゃい!」



***



「ただいま、たつみ」

「おかえりい。どこ行ってきたん?」

「………里に降りて、食べてきた」

「そか」

「たつみ?」

「何ー?」

「怖く、ないんか?」

「何が?」

「人間を食べる、俺が。怖くないんか?」

「…だって食べないと死んでまうねやろ?」

「そう、やで。でも、たつみと同じ、人間を食べてる」

「生きるために食べるんはしゃあないよ。あたしがお魚食べるのと一緒やもん」

「……そか」

「どしたん?」

「俺が、人間に殺されても、人間を、嫌いにならない?」

「人間は蜘蛛さんも鋏角さんも食べへんよ」

「ちがう。食べようとして、俺と、童が、返り討ちにあったら。どうする?」

「………強いものが弱いものをどうにかするんはしゃあないよ。闘って負けたんなら」

「…せやな」

「せやろ」

「たつみは、俺が死んだら、泣く?」

「泣くよ。いっぱい泣く」

「でも、しゃあないって、言うねんな」

「だってしゃあないもん」

「せやな、しゃあないな」



***




葛城の夢を繰り返し見るのは、何かの前触れだろうか。

あの頃の正義を、貫いてきたつもりの自分の是を思い出す。

来訪者も人間も動物も、食われて輪廻に加わるのならば仕方が無い。
花に嵐の喩えもあるさ、さよならだけが人生だ。


そう
「仕方が無い」


無力な自分を守るための、たった一つのおまじない。




不意に。

いつか海の向こうで繋いでいた手のぬくもりと
冷え切った体の哀しい感触が甦る。

あの時。

愛する人を傷つける 狂った牙に向けたのは
確かに怒りと憎しみだったはずなのに。






***
積み重ねてきた何かが一つ、音を立てて崩れ始める。
彼女はきっと気づかない、矛盾など何一つ無かったような顔で。

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プロフィール
HN:
依藤たつみ
性別:
女性
自己紹介:
依藤たつみ(よりふじたつみ)
土蜘蛛の巫女×鋏角衆
仁奈森キャンパス2年1組

***
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