ふよふよと。
空を飛んでいて。
否、
何かの背に乗って飛んでいるらしい。
大きな背中。甘い香り。
あたしは金色のたてがみにしがみついて、離れないようにぎゅっとその背を抱いた。
何か、は暫く穏やかに風を切って進んでゆく。
長田の街並み、葛城のてっぺん、それから何故か北海道のどこか(行ったことなんてないのに何故か北海道だと分かるのは、きっと夢だから)をゆるゆると飛び回り、銀誓館まで行ってあたしはすとんと地面におろされた。
___もうおしまいなの?
振り向いて金色に問えば、そこに金色は居なかった。
「ああ、おしまい。」
肉声。
記憶。
そこに居たのは金色ではなくて亀吉さん。
___どうして?
「おしまいに理由なんているの?」
あたしの声は妙にぼやけていて、
まるであたしと亀吉さんがそれぞれ違う言葉で話しているような気さえした。
おしまい。
それは何だか、とても哀しい響きでもってあたしの耳を刺す。
急に広がる不安をぐっと飲み込んで、安心が欲しくて手を伸ばした。
「駄目だろ。おしまいなんだから」
___おしまいって、何?
やんわりと避けられた。
振り払われるより、殴られるより、もっと、ずっと哀しい拒み方だった。
「オレ、能力者やめるから。たっつんに全部あげるよ」
___…何で?
「何でって、もう闘いたくねーもん」
___そっか…
「だからたっつんともさよならだよな。今までありがとう」
___……やだ…
「やだって言われても困るんだけど」
くらり、くらりと、目の前が少しずつ暗くなってゆく。
亀吉さんが何を言っているのか分からない。
「だからさ、継承。するから、受け取ってよ」
___やだ…やだ
「惣一郎はよくてオレは駄目なんだ?」
___ちがう!
死んだ人と比べないで。
惣ちゃんはあたしの、大事な家族なのに。
「オレのこともそうしか見れなかったんだろ?誰にでも優しい依藤さん」
___ちがう!
駒鳥の皆は、家族だ。
惣ちゃんも、家族だ。
亀吉さんだけが、違う。
そう知ったばかりなのに、どうして。
どうして。
どうして。
どうして?
………Love me, Love you, Love us! ホントはLove, Love…
「!!!!!」
携帯電話のアラームが朝を告げた。
冷や汗でじっとりと重くなった寝巻きの襟元を合わせ、
少し高い体温との差にくらくらしながら上半身を起こす。
怖い夢だった。
夢と分かった瞬間に安堵して、同時に、本当に夢だったのかを確かめたくなる。
握った携帯電話を開き、発信履歴から亀吉さんの名前を探している自分がいた。
夢の中身なんて、自分の不安が自分を苦しめているだけだから。
何も心配するようなことはないし、こんなことで亀吉さんに泣きついちゃ駄目だ。
そう、昨日までのあたしだったら思っていただろう。
でも、でも。
怖がらずに、ううん。
怖がっていることを隠さずに寄り添いたい。
好きの気持ちを全部ひっくるめて、知って欲しい。
「……もしもし?」
夢で見た不安は少しずつ薄れていってるけれど、声を聞きたかった。
わがままな声には少しだけ、熱があった。
***PL
リアルでそういう夢を見た+今日納品のキリノスケ様ICが神がかっていたので妄想を自重出来ませんでした。
あとこないだの修羅場ね。RPおいしいれす^q^
関係者の方々には土下座の勢いです。愛してんぜ…!
土蜘蛛の巫女×鋏角衆
仁奈森キャンパス2年1組
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